クリエイティブラビット株式会社
代表取締役
稲葉 支央里さん
北海道千歳市に生まれ、8年間アパレル業を務めた後、短期人材サービスの会社でマネージャーとして勤務。その際に中小零細企業がコーポレートサイトを持っていないという問題に直面しWEB制作会社を立ち上げを決意。ライフスタイルが変化しやすい、女性の働き方をサポートしていきたいという理念のもと、クリエイティブラビット株式会社を設立。自身も1歳5か月の娘を持つママ。家にうさぎの「こむぎ」がいます。社名もうさぎが好きなのでクリエイティブラビットです。
1.はじめに:女性のキャリアについての悩み
働き方やキャリア形成に対する不安を抱える女性の現状
現代の多くの女性は、キャリア形成や働き方についての不安を抱えています。特に、家庭や育児・介護との両立を考えると、どのようにして自分のキャリアを築いていくかが大きな課題となります。
例えば、新卒で入社した会社で精一杯働いている20代の女性。将来の結婚や出産を考えると、このままの働き方で良いのだろうかと疑問を感じることがあるのではないでしょうか?
また、育児が一段落した後に職場復帰をしたいと考えている30代の主婦の女性。また働きたいけれど、ブランクがあるために自信を持てず、不安を感じることがあるのではないでしょうか?
さらに、キャリアの中盤に差し掛かり、これからの働き方について再考する時期にきている40代の女性。現在の職場でのキャリアアップを望む一方で、家庭の事情で転職を考えなければならない状況になり、自分のキャリアと家庭の両立に大きな決断を迫られる苦悩を感じることがあるのではないでしょうか?
これらの悩みは、多くの女性が共感できることだと思います。
私自身も、会社員時代に不妊治療をしながら働いていた経験があります。当時は、休みを取りにくい環境での治療が大変で、同じように悩む女性たちの話をよく耳にしました。自分よりも休みを取りにくい環境で働いている人はもっとやりにくいのでは?と感じました。その経験から、女性がキャリアを築く上での様々な障害に対処するための支援が必要だと強く感じました。
こうした悩みを抱える女性たちが、自分自身のキャリアと家庭の両立を実現するためには、具体的な行動や道筋を示すことが重要です。私自身の経験をもとに、キャリア形成に悩む女性たちへの具体的なアドバイスをお伝えしていきます。
2.クリエイティブラビット社設立のきっかけ
札幌の中小企業の課題に直面
私が人材派遣会社で働いていた時、札幌の中小企業の多くが企業のホームページを持っていないという現実に直面しました。現代社会において、インターネットは情報収集やビジネス展開の重要なツールです。それにも関わらず、地元の多くの中小企業がオンラインでの存在感を欠いていることに驚かされました。
ホームページを持たない企業は、潜在的な顧客やパートナーに対して情報を発信する機会を逃しています。特に、新しい顧客層や市場を開拓するためには、ウェブ上での存在感が不可欠です。実際、多くの消費者は商品やサービスを選ぶ際にインターネットを利用して情報を得ています。このような現状を目の当たりにし、中小企業が直面する課題を解決するためには、オンラインでの情報発信が必要不可欠だと感じました。
また、ホームページがない企業は、信頼性や信ぴょう性の面でも不利な立場に置かれます。現代の消費者は、企業の信頼性を確認するためにまずウェブサイトをチェックします。ホームページがない企業は、他の競合企業と比較して見劣りしてしまい、ビジネスチャンスを逃してしまう可能性が高いのです。
このような背景から、私は札幌の中小企業が抱える課題に対して強い問題意識を持ち、これを解決するための具体的なアクションを起こす必要性を感じました。企業がオンラインでの存在感を確立し、ビジネスチャンスを広げるための支援をすることが、私の使命だと確信したのです。
自身の不妊治療と職場環境の悩み
しかし、不妊治療と仕事の両立は大変なものでした。治療のスケジュールは不規則で、頻繁に病院に通う必要があります。ですからまず仕事のスケジュールを調整することが難しいのです。
加えて、不妊治療による突然の体調不良や、薬の副作用の問題があります。これに関しては、職場の理解が得られなければ、心理的なストレスがさらに増大します。上司や同僚に不妊治療のことを打ち明けるべきかどうか悩みました。オープンに話せばサポートを得られるかもしれない反面、キャリアに悪影響を及ぼすかもしれないからです。
また、不妊治療には多くの費用がかかります。治療費だけでなく、薬や診察料、そして休業中の収入減も考慮しなければなりません。経済的な負担は大きく、将来の計画にも影響を及ぼします。このような状況下で、私は仕事と治療のバランスを取るために、柔軟な働き方が必要だと痛感しました。
3.女性メンバーを中心としたWEB制作会社立ち上げの意義
女性が仕事と治療、出産、育児を両立できる環境作り
私は自分自身の経験を通じて、不妊治療をしながら働く女性たちが直面する困難を理解するようになりました。キャリアを諦めずに家庭を築くためには、職場の理解と支援が不可欠です。しかし、仕事と治療や育児の両立が難しく、泣く泣く退職する女性たちの話をよく耳にしました。その度に、彼女たちがキャリアを諦めずに済む方法があるのではないかと感じていました。
同じような悩みを抱える女性たちが、仕事と治療、出産や育児で泣く泣く退職することがないように、希望を持って前に進むための具体的なサポートを提供したいと強く感じました。この思いが、私がWEB制作会社を立ち上げる原動力となりました。
リモートワークの利点
特に女性は、家庭の事情や家族の転勤などで住む場所が変わることが多く、そのタイミングで仕事を辞めざるを得ないことがよくあります。しかし、WEB制作会社ならリモートワークが可能であり、場所に縛られずに働くことができます。
これにより、仕事と治療、出産や育児を両立するための柔軟な働き方を提供できると確信しました。リモートワークや柔軟な働き方を導入することで、女性が仕事と家庭を両立しながら、自分のペースで自分らしく生き生きと働ける場所を作りたいと思っています。
4.立ち上げ時の困難と成功体験
不妊治療中の会社設立
会社を立ち上げた時期は、私にとって非常にチャレンジングなものでした。立ち上げ当時、私は不妊治療の真っ只中にあり、治療の進行状況は予測不能でした。妊娠のタイミングがいつになるのか、そしてその影響がどのように出るのか、全く予測がつかない状況でした。今妊娠したら大変ということは十分わかっていましたが、それでも私は、女性のキャリア形成における問題を自らの体験を通じて体現し、解決策を模索していこうと決意しました。
不妊治療の1期目は、主に排卵誘発剤の使用やタイミング療法が中心となります。この期間は、毎日のように病院へ通い、ホルモン注射や血液検査・超音波検査を繰り返すことになります。そのため、スケジュール管理が非常に難しく、仕事と治療の両立には多大な努力が必要でした。
立ち上げの1年目、ありがたいことに私は妊娠することができました。1期目の春に授かり、翌年1月には出産を迎えました。しかし、会社設立の初年度という重要な時期と重なったため、休暇を取ることはほとんど不可能でした。社長としての責任もあり、休みを取ったのは入院期間のみという厳しい状況でした(真似しないでください笑)。
出産と仕事の両立
産後の仕事復帰は、周囲のサポートがあって初めて成り立つものでした。特に、夫や部下たちの理解と協力が大きな支えとなりました。私はデスクの近くにバウンサーを置き、子どもを見守りながら仕事をしたりしました。
育児と仕事に忙殺され、あっという間に毎日が過ぎ、子どもは生後5か月から保育園に入園しました。おすわりも安定しない赤ちゃんを預けて働くことは最初は不安でしたが、とても「当たり」の保育園に巡り合えたことに感謝の気持ちしかありません。
この経験から学んだのは、子育てを一人で抱え込まず、周りの人たちと一緒に行うことで、仕事と育児の両立が可能になるということです。特に、家族や同僚の支えは不可欠です。育児と仕事のバランスを取るためには、信頼できる人々の協力が大切であり、一人で全てを抱え込むことは避けるべきです。
私は信頼できる人々のおかげで安心して子育てしつつ、キャリアを続けることができる環境を整えることができました。そして、同じように悩む女性たちへの支援の必要性をさらに強く感じるようになりました。
5.会社の支援体制と文化
社員のサポートとワークライフバランス
私の会社、クリエイティブラビットでは、社員一人ひとりのワークライフバランスを大切にしています。出産や育児に関する話ばかりしていますが、実際には子供がいるのは私だけで、他の社員たちは独身で各自の趣味を謳歌しています。
例えば、平日に有給休暇を取ったり、連休を取って海外旅行やライブイベントに行ったり、パートナーと旅行に行ったりと、それぞれがプライベートを充実させています。こうした自由な時間を持つことで、仕事へのモチベーションが高まり、より良いパフォーマンスを発揮することができると考えています。
皆が自分らしい仕事とプライベートのバランスを保ちながら、充実した日々を過ごせるように、社員のQOLの向上を常に意識しています。結果として、社員全体の幸福度が高まり、会社の活力と成長にもつながっていると感じています。
社員への利益還元とモチベーション向上
クリエイティブラビットでは、社員のモチベーションを高めるために、利益還元の仕組みを取り入れています。具体的には、会社に残す利益の割合を決め、それ以外の利益を社員に還元するシステムを導入しています。これにより、社員一人ひとりが頑張った分だけ給与に反映されるようになっています。
私は、最大のモチベーションはお金だと考えています。「お金」というと少し冷たく感じるかもしれませんが、頑張った分をお金で評価してもらえると頑張りがいがありますよね。私は社長として頑張りがいのある環境を整えることが重要だと考えています。
この仕組みにより、社員たちは自身の努力が直接報われると感じることができ、その結果として会社の成長にもつながります。社員が責任感を持って働き、会社に定着することで、より良い職場環境が生まれると確信しています。
6.まとめ:女性が前向きにキャリアを築くために
女性のキャリアは多様であり、一言で語ることはできません。
例えば、出世してバリバリ稼ぎたい女性もいれば、結婚後は専業主婦になりたいと考える女性もいます。また、自由に旅行で世界を飛び回りたい女性もいます。
出世してバリバリ稼ぎたい女性の場合、スキルアップのための研修やメンター制度を活用し、リーダーシップや専門知識を高めたいと考えるでしょう。そして目標を明確にし、昇進の機会を積極的に追求することで、着実にキャリアを積み上げていくでしょう。
一方で、結婚後に専業主婦になりたいと考える女性は、キャリアの初期段階で短期的な目標を設定し、一定の成果を上げることを目指したいと考えるでしょう。そして限られた時間で効果的に仕事をこなし、家庭に専念する時期が来た時に、安心してキャリアを一時停止できるように準備するでしょう。
また、自由に旅行で世界を飛び回りたい女性は、リモートワークやフリーランスの仕事を選び、場所に縛られない働き方を模索したいと考えるでしょう。スケジュールの柔軟性を重視し、自分のライフスタイルに合わせて仕事と趣味を両立させるでしょう。
私は、さまざまな女性が自分のペースでキャリアを築き、充実した生活を送ることができることを願っています。
適切なサポートと環境さえあれば、誰でも前向きにキャリアを築くことができます。私自身の例からも分かるように、周囲のサポートや柔軟な働き方は、仕事と家庭を両立させる鍵となります。
私はクリエイティブラビットを「どんな女性でも自分らしく働ける」、そんな会社にできればと思っています。