フリーランスエンジニアのためのエージェントサービス「Midworks」を運営する、河端保志様にオンラインインタビューを行いました。
河端様は、日本のエンジニアの価値向上を目指し日々奮闘されています。今回はフリーランスエンジニアのキャリア戦略やスキルアップ方法についてお話をお伺いしました。
株式会社TWOSTONE&Sons
代表取締役CEO
河端 保志さん
1989年生まれ。埼玉県出身。電気通信大学大学院在学中に、「エンジニアの価値向上」を目指して株式会社Branding Engineer(旧社名)を創業、代表取締役CEOに就任。
代表取締役CEOとして、会社の先頭に立ち新規事業の立案や企業との提携など、自ら会社の成長をけん引。2020年7月に東証マザーズ上場を達成。2023年6月にホールディングス体制に移行し、株式会社TWOSTONE&Sonsに社名変更。
フリーランスエンジニアは売り手市場
フリーランスとして働くメリットとデメリットですが、エンジニアという職種においては、デメリットはとても小さいと思います。なぜならエンジニアは有効求人倍率が10倍を超える状況が続いているように、長期的に売り手市場が続いているからです。
そのためフリーランスのデメリットである収入の不安定さ、明日には仕事がなくなるという可能性はフリーランスエンジニアという職種においてはほとんどないと考えています。
また、国が提供するフリーランスへの保障制度も整備されつつあるので、正社員よりも社会保障が手薄と言われていたかつてのデメリットも解消されつつあります。
たとえば、コロナ禍のような緊急事態が起きた際も、フリーランスの方向けの助成金が支払われたこともあり、手厚い保障があります。2024年11月からフリーランス保護新法が施行されるように、フリーランスという働き方について社会からの理解が深まってきていると思っています。
参考:有効求人倍率とは
未経験者やスキルが低い人でもフリーランスとして求められている
エンジニア未経験の人が正社員として就職することは、非常に難しいと言われています。
一方で、実際には多くの企業がエンジニア不足に陥っているため、企業はエンジニア経験の浅い方でも力を借りたい現状があります。
正社員での雇用と違って、契約期間の定めがあるフリーランスエンジニアであれば企業側の採用ハードルは低くなります。
そのため、スクールを卒業してスキルを身につけた人であれば、企業側も「フリーランスという契約形態であれば、未経験でも一旦契約してみたい」と言っていただけることも多いです。
エンジニア業務経験の少なさは仕事に意欲的な姿勢を見せることでカバー
AIエンジニアなど専門性が強い領域は別ですが、システムエンジニアの仕事は、その都度仕事のやり方を調べながら進める作業も多くあります。
逆に言えば仕事のやり方を理解してしまえば、極端な言い方にはなりますが、ベテランのエンジニアが5時間で作るシステムを、初心者のエンジニアは10時間かかって作る、といった差分くらいしかありません。
また、日本は頑張る姿勢を評価してくれる組織が多いので、採用コストも比較的安い未経験の人材が、朝一番に会社に来て夜遅くまで頑張っている姿を見ると、初めは単月契約でも、努力を認められ、企業側の意向で契約を継続することもあります。
1年ほど経験を積めば職務経歴書にもしっかりとした業務経験として記載することができるようになります。転職活動における職歴の中で、契約形態はそこまで重要視されないこともありますので、自分が本来正社員として働きたかった会社の選考を受けることも可能になります。
ハイスキルエンジニアは正社員以上の高年収やフレキシブルな働き方が叶う
終身雇用や年功序列など、従来の評価制度や組織制度の影響で、スキルが高いエンジニアでも、正社員だと年収が1000万円前後で止まってしまうことも少なくないのが日本の企業の現状です。
しかし、スキルが高いエンジニアがフリーランスに転身すると、正社員として働いていた時よりも手取りが1.5倍以上増えたり、リモートワークなどの自由な働き方も選択できたりするケースもあるので、自分のキャリアで大切にしたいことのプライオリティを重視した働き方ができるようになります。
そういった点でもフリーランスとして働くハイスキルエンジニアの方々の満足度は比較的高いと言えます。
高め合える仲間を作ってスキルアップし続ける
正社員とフリーランスの大きな違いは、組織の中で学べる環境があるかどうかです。
正社員の場合は、組織があって上司がいて、教育制度が整っていて、と学べる環境が整備されていますが、フリーランスは自分一人で働いているため能動的にスキルや知識をキャッチアップしていかないと成長していくことはできません。
そのためには、日々友人や仲間を作ることを意識して、お互いの仕事を高め合えるコミュニティに属することが大事です。
自分に足りないスキルは得意な人に聞くなど、学べる・聞ける環境を自分で作ることがフリーランスには必要です。
スキルを持ったフリーランスになれば外的要因に左右されない
正社員よりもフリーランスのほうが、シビアにスキルを求められます。
仮に会社の業績が悪くなった場合は、企業は業務委託の人件費を削るケースが多いです。
その際、スキルとして優秀じゃない人、求められていることができない人は、1番に契約解除する対象になってしまいます。
それを避けるためにも、常に時代の変化に合わせて求められるスキルを習得するために、業務に関する情報収集や勉強などの自己投資をしていくことが大事です。
高単価のスキルは需給バランスによって変動する
トレンドになっている市場や仕事に飛びつくといった瞬間風速で稼ごうとする考えはあまりおすすめではありません。
たとえばCOBOL(コボル)という、60年以上前から存在するプログラミング言語があるのですが、ある時期から「COBOL言語はもう古い」と言われはじめて、多くのエンジニアが.NET(ドットネット)というプログラミング言語の習得に切り替えていき、COBOLのエンジニアが激減しました。
それでどうなったかというと、COBOLを利用したシステムは現在も一定数存在するため、COBOLのエンジニアが減った今は、むしろCOBOLのエンジニアの方がニーズが高いです。
このように需給バランスによってエンジニアの単価は変わってくるので、 「現時点ではこのスキルが稼ぎやすい」ということは言えますが、半年後もそのスキルが稼げるのかどうかは、なんとも言えません。
中長期的に稼ぐために普遍性が高いスキルを身につける
中長期的に稼ぎたいのであれば、普遍性や応用性が高い言語を習得するのがおすすめです。
たとえば、プログラミング言語には、大きく分けて2種類の言語があります。
1つはC言語やJavaなどのコンパイラ言語、もう1つはPHPやPyton、Rubyなどのスクリプト言語です。
コンパイラ言語は型がしっかりしてるので比較的習得が難しいと言われているのですが、スクリプト言語は文法が簡単で記述量も少ない点から、プログラミングの難易度が比較的低く習得しやすいと言われています。
また、どのスクリプト言語も同じ考え方で作られているので、スクリプト言語を一つ習得してしまえば、他の言語を学ぶときも楽に習得できます。
まずは就職できるレベルまで1つのスクリプト言語を学び、あとは必要に応じて言語転換をしていくのが中長期的に稼いでいくために良いのではないでしょうか。
アウトプットに重点をおきスキルを定着させる
たとえば、読書をして何もしないままだと、1年後には本の内容を忘れてしまいます。
同様に、勉強して得たスキルや知識を学んで終わりでは身につかないので、インプットをした翌日に人に話したり、すぐ実践してみるといったアウトプットの機会を設けることで初めて自分のスキルとして定着します。
インプットよりもアウトプットに重点をおくことがスキル定着の近道であると考えます。
人の正義を理解し素直に聞く
たとえば、今日取材に同席してくれているメンバーは、僕が苦手なことがたくさんできます。彼女のそういったプロフェッショナルな部分に関しては、 私は素直に彼女の意見を聞くようにしています。
人は自分の正義と違うことを伝えられた時に、つい反射的にアレルギー反応を起こして相手の意見を否定してしまいがちです。
でも、相手の意見が合理的であるかどうかを冷静に判断して、相手が正しいのであれば、素直に受け入れることが大切です。
そうすることで自分のスキルや技術も身につくだけでなく、人間性の成長にもつながります。
市場を見極めて柔軟に軌道変換し続ける
仮に、コロナのように世界中でロックダウンを引き起こすような感染症が再度流行したら、昨日まで築いてきた飲食店のビジネスモデルは成立しなくなってしまうかもしれません。
その場合「来店客だけで売上が間に合っているからデリバリーはやらない」という方針だったお店は、一気に方向転換が迫られます。市場が大きく変化する可能性に対して、いわば自分自身が会社の代表とも言えるフリーランスはそういった市場の変化に合わせていかないといけません。
反対に正社員の場合は、経営者や上層部が方向転換を考え、組織戦略を動かしてくれるので、流れに乗っていればどうにか乗り越えられてしまうともいえます。
しかしフリーランスの場合は、常に市況を見極め「市場の中で今は何が求められているのか」を常に自分で意識して、自身のキャリアを考えていく必要があります。
マクロ視点で市場を捉え必要なスキルを常にキャッチアップ
自分の持っているスキルや今の仕事が、長期的に市場で必要とされるのか、されないのかという視点が大事です。
近年はAIがトレンドですが、AIによって今後どう社会が変化していって、どういう仕事が失われて、どういう仕事が重宝されていくのか、どんなスキルを身につければ生き残ることができるのか。
そういった社会や時代の変化を自分で未来を見据えながら考えて、必要なスキルをキャッチアップし続けることが必要です。
1人経営者であるフリーランスは組織よりも機動性が高い
フリーランスは極端に言うと、1人企業の経営者です。
会社や組織は従業員数や事業の規模などの母体が大きいので、経営方針や事業の方向転換をする際は、どうしても機動性が悪くなってしまいます。
一方、フリーランスは自分1人で全ての経営を行っていると言えるため、機動性が高くドラスティックな軌道変換をスムーズにできるところが強みです。常に昨日までの常識を捨てて、柔軟性を持つことが大切です。
フリーランスを目指す人は自分の市場価値を知り理想的な働き方を判断する
フリーランスとして働くために考えるべきことの1つは、自分の今の能力がフリーランスとして独立したときに、どれぐらいの価値があるのかという市場価値を見極めること。
もう1つは、今の自分が置かれている状況において、フリーランスの働き方と正社員の働き方では、どちらがいいのかを判断することです。
最終的にフリーランスとして働くという意思決定をする場合は、自分を売り込んで仕事を獲得することが求められるため、自身の市場価値を把握することや、そもそも自分自身の働き方としてどちらがあっているのかを見極めることが大切です。
エンジニアでも他の職種でも、今は様々なエージェントがいるので、フリーランスとして働くことを検討するために彼らと壁打ちをして、自分の強みや理想の働き方を見つけてください。
良いエージェントは求職者のプライオリティーを理解した提案ができる
求職者のプライオリティーを曲げてまで、希望に沿わない提案をするエージェントはおすすめしません。
たとえば、子供が生まれたばかりなので収入を上げたいと考える人もいれば、親の介護が大変だから、多少収入が少なくてもワークライフバランスが取れたり、リモートで働ける職場を希望する人もいます。
求職者の人生における様々なプライオリティーがある中で、 それぞれのメリットとデメリット、各案件で得られることをきちんと説明できること、かつ求職者と企業側双方の期待値も含めてコントロールすることがエージェントに求められると思います。
Midworksはフリーランス案件を扱う数少ない上場企業
当社は、エンジニア・マーケター・営業系など、取り扱うフリーランス領域が広がっています。そのためフリーランス領域においての知見やノウハウが豊富です。
実際、上場企業でフリーランスを扱っている会社、フリーランス案件をエージェントとして事業を行っている会社は少ないです。
そういう意味でもフリーランスを目指している方は、まずは気軽に当社を頼って頂けるとうれしいです。
Midworksは私がフリーランスだったら使っているだろうと自負するくらい、エンジニアがこうしてほしいと思うことを組み込んで作ったサービスなので、きっと満足して頂けると思います。
Midworksはエンジニアへの還元率と専門性が強み
規模が小さい会社の案件だと、多重下請け構造になりやすく、結果としてエンジニアの単価が低くなってしまうケースがあります。
当社の場合、元々エンジニアの報酬を上げていきたいと思って創業していますし、業界内でのブランド認知の高さや実績を知っていただいていることや、グロース市場に上場していることもありエンジニアの獲得単価を低く抑えられる分、エンジニアに対して報酬を還元することができます。
実際にエンジニアへの還元率は業界最大規模だと思います。
また、フリーランスエージェントの事業は、多くの企業が総合職系エージェント出身の方によって創業されているので、エンジニアといった専門職に対してのキャリアカウンセリングの質や業務理解が弱いです。
一方当社は、私も共同代表の高原もエンジニア出身であり、Midworksはエンジニア目線で作ったサービスであるため、カウンセリングの質には自信があります。
もしも今、他のエージェントを使っている方やフリーランスの方がいれば、ぜひ一度当社のサービス、Midworksを利用してみてください。